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津地方裁判所 平成8年(わ)287号 判決 1997年2月04日

本籍並びに住居

三重県伊勢市馬瀬町九〇八番地四

歯科医師

安藤賢治

昭和二四年一月六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官下川德純出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金二二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、三重県伊勢市馬瀬町九〇八番地四に居住し、同市一之木五丁目九五八番地一において、「安藤歯科医院」の名称で歯科医業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上げの一部を除外し、架空給料を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一  平成四年分の実際の総所得金額が九三九三万一〇八八円、分離課税による長期譲渡所得金額が九〇万円あったのにかかわらず、平成五年三月一二日、三重県伊勢市岩渕一丁目二番二四号所轄伊勢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四〇六六万五一六八円、分離課税による長期譲渡所得金額が九〇万円で、これに対する所得税額が一〇四〇万五五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同人の正規の所得税額三七〇三万八五〇〇円との差額二六六三万三〇〇〇円を免れ

第二  平成五年分の実際の総所得金額が一億一〇七七万五〇七九円あったのにかかわらず、平成六年三月一五日、前記伊勢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三四三六万九四〇九円で、これに対する所得税額が七六三万四九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同人の正規の所得税額四五八三万七四〇〇円との差額三八二〇万二五〇〇円を免れ

第三  平成六年分の実際の総所得金額が八九四七万三一八一円あったのにかかわらず、平成七年三月一四日、前記伊勢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二七六五万八二〇一円で、これに対する所得税額が三一八万三七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同人の正規の所得税額三三七八万〇五〇〇円との差額三〇五九万六八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)甲1ないし10、13ないし23、乙1ないし13の各証拠

(法令の適用)

罰条 各事実 所得税法二三八条

刑種の選択(各罪) 所定刑の懲役及び罰金の併科刑を選択

併合罪加重 平成七年法律第九一号による改正前の刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定加重)、四八条二項(罰金刑につき各罰金額を合算)

換刑留置 前同刑法一八条

懲役刑の執行猶予 前同刑法二五条一項

訴訟費用 刑訴法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 上本公康)

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